キャットフードの種類と選び方
キャットフードの種類と選び方
猫を健康に育てるためには、食事がとても大切です。
以前は飼い猫の平均寿命は6〜8歳でしたが、現在では特に持病がなければ10歳を超えることが当たり前になっています(現在の飼い猫の平均寿命は13〜15歳)。
その理由として、猫の栄養を研究し作られた良質なキャットフードのおかげであると考えられています。
キャットフードには様々な種類がありますが、猫にとって不要な炭水化物が多く含まれていたり、酸化防止剤の問題もあるといった諸説があります。
しかし、良質なキャットフードを与えられている猫は風邪などの感染症に対する抵抗力が高いと感じられます。
一方で、近年は猫が腫瘍などの病気にかかるケースが増えており、猫の食事に問題があるのではないかという声もあります。
しかし、30年前に比べ平均寿命が倍近く伸びている実績があるため、以前には見られなかった病気にかかるケースが増えても仕方がないのかもしれません。
ペットフード売り場ではさまざまな種類のキャットフードが販売されていて、どれを選べばよいのか迷うことが多いです。
ここでは、キャットフードを選ぶための基本的な知識をご紹介します。
キャットフードの分類
アメリカにおいては、AAFCO(アアフコ:米国飼料検査官協会)が定めた栄養に関するガイドラインがペットフードの世界的な基準として使用されています。
また、日本でも2009年6月から「愛玩動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法)」が施行され、ペットフードに関する安全性の確保が行われています。
ペットフードの種類と使い方
ペットフードの製造、輸入、販売にはルールがあります。
ここでは、ペットの健康に悪影響を及ぼすフードの使用が禁止されており、製造業者名や賞味期限などの表示が義務付けられています。
さて、ペットフードは目的に合わせて分類することができます。
まずは「総合栄養食」です。
このタイプのフードは猫に必要な栄養素をすべて含んでおり、毎日の主食として与えることができます。
一般的にはドライフードが主流で、多くのブランドが「総合栄養食」として販売しています。
また、この「総合栄養食」にはエコノミーフードとプレミアムフードという2つのカテゴリがあります。
エコノミーフードは比較的低価格で量販店などで手に入りますが、プレミアムフードは価格が高く、原材料や製法にこだわりがあります。
主にペットショップや動物病院で販売されており、量販店ではあまり見かけません。
ですので、自分の猫に合ったフードを選ぶ際には、これらの違いを考慮してください。
次に「間食」です。
これは猫の気分転換やご褒美として少量与えるものです。
ただし、間食だけでは猫の栄養を満たすことはできませんし、嗜好性の高い食べ物が多いため、与える際には「なぜあげるのか」「いつ」「どのくらいの量」というルールを決めることが大切です。
また、必要カロリーの20%以下に抑えることが基本です。
最後に「その他の目的食」です。
これは特定の栄養やカロリー補給、食欲増進などの目的で作られたフードで、間食でも総合栄養食でもないです。
ただし、これだけでは猫の栄養を満たすことができませんので、おやつやトッピングとして使用するのが良いでしょう。
表示には「一般食(おかずタイプ)」「一般食(総合栄養食と併用)」「カロリー補給食」「副食」といった表記がされています。
以上、ペットフードの種類と使い方について説明しました。
ペットの健康維持のために、適切なフードを選んで与えてください。
猫の食事におすすめの種類と注意点
最近は、さまざまなニーズに応えるために、毛球ケアや歯垢予防、胃腸の弱い子猫用、妊娠・授乳期用、アレルギー対策用、猫種別の専門フードなど、様々な種類のキャットフードが販売されています。
もし猫に特定のニーズがあると思われる場合は、それぞれのフードを使ってください。
獣医師が処方するフードについて
獣医師が処方するフードは、猫のある特定の病気や疾患に対応した特殊な食事です。
心臓病、腎臓病、肝臓病、糖尿病、肥満、下痢、泌尿器症候群、結石、低アレルギーなど、さまざまな種類の処方食があります。
ドライタイプのキャットフードについて
ドライタイプのキャットフードは、水分が10%以下に抑えられて焼き上げられたカリカリの食べ物です。
栄養価が高く、猫の歯に歯垢がつきにくく、便の健康を維持するのに効果的です。
必ず新鮮な水をたっぷり用意して、いつでも飲めるようにしてあげてください。
セミモイストタイプ(半生タイプ)のキャットフードについて
セミモイストタイプは、ドライタイプとウエットタイプの中間で、水分含量が25〜35%程度ある柔らかい食べ物です。
子猫や老猫は特に食べやすく、潤滑調整剤を使用して水分を保持しています。
ただし、歯垢がつきやすいので注意が必要です。
製造方法の違いで「ソフトドライタイプ」と「セミモイストタイプ」があります。
ウエットタイプのキャットフードについて
ウエットタイプのキャットフードは、缶詰やパウチ、アルミトレイなどに入った商品で、水分が75%以上含まれています。
猫の好みを引き出すために、さまざまな香りや材料が使われており、肉や魚の身が入ったものやペースト状のもの、スープ状のものなどがあります。
ただし、開封後は冷蔵庫で1日程度しか保存できないため、早めに与えるようにしましょう。
また、食べ残しがあった場合は20分程度で捨て、食器を出しっぱなしにしないでください。
キャットフードを保管する際の留意点
キャットフードは未開封でも、保存場所によっては品質が低下する可能性がありますので、以下のポイントに留意して保管しましょう。
1.
直射日光を避ける
: ドライフードを保存する場合は、直射日光の当たらない場所を選びましょう。
太陽の光にさらされると、食品の栄養が失われたり品質が損なわれる可能性があります。
2.
気温と湿度の変化を避ける
: ドライフードは湿度変化に敏感であり、高温や高湿度の環境下では品質が劣化します。
したがって、通常の室温や湿度が変化しにくい場所に保管しましょう。
3.
密封容器への移し替え
: ドライフードの袋を開封した後は、酸化が始まって品質が低下する可能性があるため、密封容器に移し替えて保存することをおすすめします。
密封容器を使用することで、空気との接触を避け、フードの鮮度を保つことができます。
4.
賞味期限内でも注意が必要
: 保存方法が不適切だと、賞味期限内であってもキャットフードが傷んでしまい、猫の食欲を低下させる可能性があります。
猫は食べ物の質や好みをにおいで判断するため、フードが酸化してにおいが変化すると、食べる意欲が減退します。
5.
定期的に購入
: 2週間以内に使い切る量を購入することがベストです。
大容量の袋を購入しても、2週間以内に使用しない場合は、密封容器に小分けにして冷凍庫や冷蔵庫で保存しましょう。
手作りご飯を与える際の栄養バランスに留意
手作りごはんを与えることには、猫への愛情が感じられると思われるかもしれませんが、猫に必要な栄養素を正しく理解し、バランスの取れた食事を提供するためには、かなりの知識と勉強が必要です。
例えば、猫の必要な栄養素は、タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルなどが含まれており、これらを適切な割合で提供することが重要です。
猫の体重や健康状態に応じて、それぞれの栄養素をどの程度与えるべきかも考慮する必要があります。
また、手作りご飯では食材の新鮮さや品質にも留意する必要があります。
不適切な保存や調理方法で食材が傷んでしまった場合、猫の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
そのため、手作りご飯を与える際には、獣医や栄養士からアドバイスを受けるか、信頼できる情報源から正確な知識を得ることが重要です。
猫の健康と幸福を考えるなら、栄養バランスに留意した食事の提供が必要です。
猫にサプリメントは必要か?
普段から健康で何の問題もなく、バランスの取れた栄養食を摂取している猫については、栄養補助のサプリメントは必要ありません。
人間の場合、日々の気分によって好みの食べ物を選び、栄養バランスが偏ってしまうことがあるため、サプリメントが必要な場合もあります。
しかし、猫に必要な栄養素は、バランスの取れた「総合栄養食」として提供されるキャットフードに含まれています。
このキャットフードを摂取するだけで、猫の健康は維持できます。
サプリメントを与えることで、栄養バランスが崩れたり、過剰な栄養摂取が原因で病気になる可能性もあります。
また、免疫力の向上や老化防止などを謳ったサプリメントもありますが、健康状態が安定している猫に対して、サプリメントの必要性を判断する際には、獣医師と相談することが良いでしょう。
飼い主が用意する食事が猫の全てであり、猫の健康を考えた上で、適切なキャットフードを選ぶことが大切です。