オッドアイの猫は幸運を招く?左右の目の色が違う猫の秘密とは
オッドアイの猫は幸運を招く?左右の目の色が違う猫の秘密とは
左右の瞳の色が違う猫「オッドアイ」の秘密をご紹介します。
私は保護猫の新しい家族捜しのボランティアをしています。
これまでにさまざまな猫たちとお付き合いしてきましたが、中には非常に珍しい毛色や目の色を持つ猫もいました。
今回ご紹介するのは、左右の瞳の色が違う猫です。
私がこれまでに預かった約200匹の中で、左右の目の色が違う猫はこの子で2匹目です。
この猫は非常に美しい白い三毛猫ですが、なぜ左右の瞳の色が違うのか疑問です。
また、青い目の白猫には聴覚障害が見られることがありますが、この猫の場合、青い目のほうの耳はちゃんと聞こえるのでしょうか?今回は、青い目と左右の色の違う目を持つ猫の謎に迫っていきます。
オッドアイ:虹彩異色症とは
猫や犬の左右の目の色が違う現象(虹彩異色症)をオッドアイと呼びます。
オッドという単語には奇数、不揃い、片方のといった意味があります。
虹彩異色症とは、左右の眼の虹彩の色が異なっていたり、ひとつの瞳の虹彩の一部が変色している状態です。
虹彩異色症には「症」という言葉がついていますが、これは何らかの疾患を指すのではなく、単に左右の瞳の色が違う状態を表しています。
オッドアイの猫は幸運のしるし? 日本では古くから、片方の眼が黄色系の目の色(ゴールドアイ)で、もう一方が青い目(ブルーアイ)である猫を金目・銀目と呼び、縁起の良い存在として重要視されてきました。
ブルーアイのシャム猫の原産国であるタイでも、オッドアイの猫を「ダイヤモンドの瞳」と称し、大切にしているそうです。
まれにしか出会えない希少性のある存在として、見つけたことは幸運とされ、大切にされてきたのかもしれません。
オッドアイがでやすい猫の種類
猫の中には、左右の目の色が異なる「オッドアイ」と呼ばれる個体が存在します。
この現象は、特に白い猫や白い毛の多い猫によく見られます。
また、純血種の中では、ターキッシュバン、ターキッシュアンゴラ、ジャパニーズボブテイルなどでオッドアイがよく見られます。
特にジャパニーズボブテイルは、ブルーアイとオッドアイの三毛が人気であり、ブリーダーは選択交配によってオッドアイが生まれる確率を高めています。
オッドアイの白い三毛猫は、体のほとんどが真っ白で、頭のてっぺん周辺と尾の部分に黒や茶色の斑点が入る特徴があります。
白い毛と青い目の遺伝子
ブルーアイの聴覚障害が発生する原因として、白い毛のブルーアイの猫が関係しています。
一方で、ポインテッドの猫(シャム猫やヒマラヤンなど)はブルーアイであるにも関わらず、聴覚障害はほとんど起きません。
この違いは遺伝学的な要素によるものです。
白い毛を作り出す遺伝子には、アルビノと呼ばれる色素をまったく持たない突然変異を除いて、二つの種類があります。
一つは「W遺伝子(白色遺伝子)」で、これはすべての色を覆い隠して白色に変えてしまいます。
W遺伝子は優性遺伝子であり、他の毛色を抑えるため「マスキング遺伝子」や「遮蔽遺伝子」とも呼ばれます。
もう一つは「S遺伝子(白斑遺伝子)」で、黒白や茶白といった部分的に白い斑点を作ります。
S遺伝子は体の一部に白い斑を作る役割を持っています。
白猫の特徴に関わるW遺伝子の影響
青い目と聴覚の問題を引き起こすW遺伝子は、他のカラーを隠して全身を真っ白にする特徴を持っています。
この遺伝子によって、毛の色素細胞であるメラノサイトが存在しなくなります。
メラノサイトの不足が目の色素にも影響するため、結果として目が青く見えるのです。
具体的には、目の色自体が青いわけではなく、目の色素の不足によって青く見えるのです。
同様に、聴覚障害は、内耳の蝸牛内にある音の感受器であるコルチ器が適切に形成されないことによって生じます。
コルチ器もメラノサイトと同じ細胞から分化するため、W遺伝子によってメラノサイトが不足するとコルチ器も影響を受け、聴覚障害が発生すると考えられています。
このように、被毛、虹彩、聴覚の3つの器官が形成される過程では、メラニン形成細胞であるメラノサイトが重要な役割を果たしています。
W遺伝子がどの程度メラノサイトを不足させるかによって、白猫の目が青くなるか、聴覚障害が生じるかが影響を受けるとされています。
ブルーアイの白猫の場合、聴覚障害がある割合は約60〜80%です。
また、目の色が青くない白猫の場合でも、聴覚障害が発生する割合は約10〜20%とされています。
さらに、片方の目がブルーアイで聴覚障害が生じる場合の割合は約30〜40%と言われています。
また、若い頃は正常に聞こえていたのに、5〜6歳を過ぎてから難聴になってしまう白猫も存在します。
白猫のブルーアイと聴覚障害については、そのメカニズムが一部解明されつつありますが、実際には他の多くの遺伝子も複雑に関与している可能性があります。
まだ猫の世界には解明されていない謎がたくさんあります。
今後、新たな要因が発見される可能性もあるでしょう。
なお、色素が存在しないために青く見える目や白い被毛を持つ白猫は、直射日光に対して敏感です。
白猫と一緒に暮らしている場合は、紫外線から保護するように注意してください。
猫の特徴や対処法についての説明
万が一、猫が聴覚障害を抱えていても、慣れた室内での生活には心配はありません。
ただし、寝ているときなどに突然触れたりするのは避けるようにしましょう。
また、猫のそばで足音を立てるなど、振動で知らせる習慣をつけると良いです。
ブルーアイやオッドアイの猫は、非常に美しく神秘的な瞳を持っています。
その瞳には思わず引き込まれてしまいます。